【新唐人2013年6月8日付ニュース】中国当局が、三峡ダムを模範とした大型ダムを全国で50か所建設する計画を立てています。専門家たちから非難を受け続けている三峡ダムは運営開始から10年後、生態環境の破壊や、結果的に利益より弊害の方が大きいのは周知の事実となりました。世界最大のエネルギー消費国である中国の大型ダムの建設計画に対し専門家は、GDPの飾り付けになるだけで、最終的に中国の子孫や世界中にさらなる禍根を残すと指摘します。
中国当局の計画では、2020年前に中国の発電能力を50%増加させると同時に石炭消費を削減し、輸入天然ガスへの依存を減らすことを目標としています。向こう10年の新たな水力発電プロジェクトとして、中国当局は50の大型ダムを建設中です。これらのダムの多くは地震の多い西南の山岳部に位置しています。完成すれば世界最大の放水量となる「溪洛渡(けいらくと)ダム」は、今年6月から運転を始める予定です。
5月中旬、中国環境保護部は大渡江「双江口ダム」の建設を許可しました。四川省に建設されるこのダムは、高さ314m。世界で最も高い水力発電ダムになる予定です。
現在、当局が大きな力を入れている水力発電ダムの建設について、北京の環境保護学者・張峻峰(ちょうしゅんほう)さんは、GDP数値の飾り付けになるだけで、他に利益はないとみています。張さんは、水を利用して発電しても、結局は石炭による酸性雨などの環境問題を解決できず、却って移民や現地労働者など諸々の問題をもたらすと指摘します。
北京の環境保護学者 張峻峰さん
「水力は一般的に山岳地帯、特に水源の上流或いは水源地にあります。これらの地域は中国では地質の弱い地帯で水力発電施設を建設すると、地質構造が変わってしまい。地震や地滑り、土石流や水土保持などの問題が生じます。さらには現地の伝統文化まで破壊してしまうかもしれません」
現在、最も論争を呼んでいるのは、ミャンマーとタイを流れるサルウィン川の上流・怒江(ぬこう)に建設する5か所の大型ダムです。これらのダムによってヒマラヤ山脈地区の独特な動植物群に影響を及ぼす可能性が評論家から指摘されています。
今年3月、中国当局はヤルツァンポ河の3つの大型ダム建設計画を発表。これに対し、インドのシン首相が懸念を表しています。
北京の環境保護学者 張峻峰さん
「上流にこの様な大型ダムを建設すると、数万年数億年と適応してきた現地の生態系を人工的な生体システムに変えることになり、現地の生態を深刻に破壊し、そのダメージは数千年数万年続くでしょう。この様な影響には取り除けないものもあり、下流の国が心配するのは正常な事です」
一方、中国共産党メディアは相変わらず“三峡ダム”の良い点を褒め称えていますが、実際の三峡ダムの発電量は、当初想定していたものとは大きくかけ離れており、全国総発電量のわずか3.3%を占めているに過ぎません。
ドイツ在住の水利専門家王維洛(おう いらく)さんは、三峡ダム区内では天然の川筋は水没し、少なくとも102億立方メートルの洪水防止力を備える自然の河川が消失し、洪水防止貯水量も、予想していた300億立方メートルの効果には達していないと指摘します。
また、三峡地帯に位置する世界第4位の大峡谷である“沐撫大峡谷”(もくぶだいきょうこく)では、すでに多くの断裂が発生しています。
三峡ダムは国際的に最も危険なプロジェクトとして認識されています。中国の水利専門家・黄万里(こう ばんり)教授もかつて“三峡プロジェクトの12大危害”を指摘し、三峡ダムは最終的には爆破することになり、子孫に弊害を残すと警告し続けました。
王さんによると、現在三峡ダムの底に堆積(たいせき)している泥砂(でいさ)は約19億トン。30年後の堆積量は40億トンを超えると予想されますが、長江の水でこれほど大量の泥砂を海に運ぶことはできないため、必然的に中・下流を塞いでしまうと指摘。その時になって、三峡ダムを爆破しても問題は解決できないと述べます。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/06/03/atext908234.html(中国語)
(翻訳/赤平 編集/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)